家購入に関する「トラブル集」
1.契約した土地の登記面積と実測が違った場合
この問題は、どのような契約を交わしたかによります。契約書に、例えば「契約書に記載されている土地面積と登記簿上の面積に差異が発見されても、売主買主双方は互いに売買代金の増減等請求をしない」とある場合は、代金の返還等の請求はできません。
しかし、「売買代金は一坪あたり金○○円とし、後日実測した面積と本契約書上の面積が相違したときは、上記坪単価に基づいて精算するものとする」という旨の表示があり、実測面積が少なければ、その部分の代金の返還を請求できます。場合によっては、契約解除を申し入れることもできるでしょう。契約書に、こうした記載がない場合は、契約時、売主と買主がどのような意思表示で契約したかにより決定することになります。
※)仮差押え
買主側に落ち度がなく、売主側に問題がある場合、契約を解除して代金を全額返還してほしい、という請求をすることができます。相手が応じない場合は裁判という形になるでしょう。ただし、裁判で勝訴しても、確実に取り戻せるという保証はありません。裁判中に売主側が破産して無一文になるとか、或いは財産を隠してしまう可能性もあります。そこで、相手が破産したり財産を隠したりする前に、返済金を確保するために相手の財産を押さえておく手続きを、仮差押えといいます。押さえるものの3分の1から5分の1くらいの費用や保証金が必要となりますが、返済金を確保するには必要な手続きであるといえるでしょう。
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2.購入した不動産が引き渡し前に家事で全焼してしまった場合
売買契約が成立し、買主は売主に対して代金の半分を支払い、売主は登記の移転を済ませました。その後、引き渡す直前に、購入した建物が火事で全焼してしまったらどうなるでしょう?
民法534条で危険負担の債権者主義として、買主に負担を負わせる規定があるため、残念ながら支払った金額は戻ってこない上、残りの半分も支払う義務があります。このようなことを避けるには、あらかじめ契約時に特約を設けるしか対策はありません。例えば、「地震、風水害などの不可抗力や類焼のような売主買主双方の責任に帰することのできない事由で家屋が消滅したときには、双方で損害を折半する、或いは売主が全額負担する」といったような内容の特約を結んでおけば、こうした事態に対処することができるでしょう。
※)消費者契約法
上記の例のように、業者との契約では購入者(消費者)にとって不利な場合も多いことから、消費者契約法という法律が制定されています。この法律では、業者の不適切な行為(不実の告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知、不退去や監禁など)で契約した場合、消費者はそのことを知ったときから六ヶ月(契約締結からは五年間)は無条件で契約を取り消すことができるとされています。
3.家を建てられない土地を買わされてしまった。
市街化調整区域内の土地は、都市計画法で著しく制限されているため、特別な場合を除き家を建てることはできません。もし、市街化調整区域であることを知らされずに契約したのであれば、「錯誤により無効」が認められます。しかし、市街化調整区域であることを知りながら、業者の「値上がり確実」「すぐに売れます」などの売り込み言葉にのって契約したのであれば錯誤ではないので、無効にはなりません。市街化調整区域の土地は最初から購入すべきではありません。